【国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻 教授 石山麗子】
住まいは、地域包括ケアシステムの図の中心に位置し、生活の基盤となる重要な要素である。とりわけ要介護者にとって住まいを選ぶことは、ケアや財産の使い方、生き方や死に方の選択肢に直結すると言っても過言ではない。しかし、一部では高齢者の権利や人権が十分に守られていない状況が見受けられる。
例えば、難病患者に特化してケアを提供している東証プライム上場企業の施設では、訪問看護制度を利用した診療報酬の不正請求が明らかになったと一部報道が伝えている。また、別の報道では医療機関等で社会福祉の立場から患者や家族の相談に応じる専門職であるMSW(医療ソーシャルワーカー)が、施設紹介会社と問題のある関係を持っているとも。過去には、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の事業者からケアマネジャーに対して、利用者のサービスを指定したり、月の途中で余剰となる単位を使い切るために追加サービスを指示したりする事例も明るみに出た。
複雑化する高齢者の住まいにおいて、制度の隙間を突き、組織的にあるいは専門職の立場を利用した(意図的でない場合も含む)状況が可能となるのであれば、その改善は必須である。
3月17日に開催された第118回社会保障審議会介護保険部会では、地域包括ケアシステムにおける高齢者向け住まいの現状と課題が示され、4月14日には「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の第1回が開催された。
老人福祉法に基づく有料老人ホームとは、
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次回配信は6月ごろを予定しています
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