供給過剰な医療に対する診療報酬の減算は財政審が2024年11月にも提言したが、実現しなかった。財務省は、診療所の地域偏在を解決するには、26年度の診療報酬改定で実効性のある仕組みを創設することが不可欠だとしている。
財政審の財政制度分科会は23日、財政運営に関する提言(春の建議)の取りまとめに向けて持続可能な社会保障制度の構築を議論した。財務省はその中で、医療・介護の給付費用が2000年以降の20年余でおおむね倍増したことを指摘し、現役世代の保険料の負担増を抑えるため効率化する必要性を改めて強調した。
その上で、政府予算案の編成で社会保障費を高齢化相当分に収めるいわゆる「目安対応」の継続を主張した。
26年度の診療報酬改定に関しては、年末に公表される医療経済実態調査などのデータを詳しく分析し、めりはりの利いた対応の検討を求めた。財務省は、一般診療所(無床)のみ経営を経営する医療法人の利益率が23年度は平均8.6%で、病院のみを経営する医療法人の2.1%や、中小企業の全産業平均の3.6%よりも高い水準だったとしている。
地域包括診療料など「かかりつけ医機能」への評価とされる報酬の抜本的な見直しも求めた。複数の慢性疾患を抱える患者への継続的・全人的な医療の提供を評価する地域包括診療料を認知症地域包括診療料と統合し、医療機関の「かかりつけ医機能」をきめ細かく評価できる体系への再構築を提言した。
また、継続的な管理が必要な初診患者が専門医療機関を受診する必要があるかを判断するなど質の高い「かかりつけ医機能」を評価する機能強化加算は、全ての患者に一律に算定できることを指摘し、廃止を含めて見直すべきだとしている。
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