その結果、基本サービス費が3.5万円以上で比較的経済的な余裕がある人を利用対象とする事業所では、訪問・通所介護事業所などの併設割合が3.5万円未満の事業所よりも高かった。
一方、介護保険の支給限度額に対する利用割合は、基本サービス費が3.5万円未満の事業所で高かった。
例えば、利用者の平均要介護度が2.5以上の事業所では、支給限度額に対する利用割合が9割を超えたのは、基本サービス費が3.5万円以上の事業所で19.8%だったのに対し、3.5万円未満の事業所では29.6%だった。
平均要介護度が2.5未満の事業所でも、基本サービス費が3.5万円以上の事業所で8.7%だったのに対し、3.5万円未満では13.6%と介護保険の給付割合が高かった。
この日開かれた有料老人ホームの在り方に関する検討会で井上氏は、経済的余裕がある人の利用が多い事業所では介護サービスを複数用意しているものの、「必ずしも介護保険の利用を前提としていないことが見受けられる」と指摘。
井上氏はまた、この調査では生活保護受給者の41.2%がサ高住などに入居していたことが明らかになったとし、「経済的余裕のある人が少ない事業所ほど、介護保険の支給限度額に対する利用割合が高い傾向があった」と説明した。
意見交換では、この調査に携わった高野龍昭構成員(東洋大福祉社会デザイン学部教授)が、生活保護受給者が入居する事業所の中には、入居費用を抑える代わりに併設する訪問介護事業所などの介護サービスを過剰に提供し、売り上げを補填している可能性があることに言及。「事業者の届け出時に事業運営の体制などをチェックする必要があるかもしれない」との考えを述べた。
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