国立がん研究センターは25日、若年層での子宮体がんと大腸がんの罹患率と死亡率が複数の国で増加していることを国際共同研究で確認したと明らかにした。この2種類のがんは早期に発見・治療できなければ死亡のリスクが高くなることから、「若年発症がんの病態解明が世界的に重要な課題であることが示された」としている。
研究は、国がん研究所統合がん研究分野の鵜飼知嵩分野長や、がん対策研究所予防研究部の田中詩織室長、ハーバード公衆衛生大学院のイチロー・カワチ教授らの研究チームによるもの。
日本を含む世界44の国と地域で2000年カら17年までに診断された若年(20歳以上 50歳未満)発症がんの罹患率の推移を検討した。その結果、女性では甲状腺がんや乳がん、悪性黒色腫、子宮体がん、大腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、膵臓がんなどの年齢調整罹患率が多くの国や地域で増加。男性では甲状腺がんや腎臓がん、精巣がん、前立 腺がん、大腸がん、悪性黒色腫、白血病などの罹患率が増加していることを確認した。
また、日本を含む世界36カ国の若年発症がんの罹患率と死亡率を比べたところ、子宮体がんは日本や韓国、エクアドル、米国、イギリスで、大腸がんはカナダや米国、イギリスなどでいずれも増加していた。
国がんでは、若年発症がんの現状について十分に把握できていないため、疫学研究での実態把握と基礎研究を今後さらに行い、現状をより詳細に把握する必要があるとしている。
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