国のがん対策推進協議会(会長=垣添忠生・日本対がん協会長)は1月28日に会合を開き、事務局側が「がん診療連携拠点病院」の役割や指定要件などをまとめた「たたき台」の案を提示した。「たたき台」案では、都道府県がん診療連携拠点病院の指定要件に臨床研究の推進を加える案などを掲げている。指定要件を引き上げることで、拠点病院の質の向上を図ることが狙い。「たたき台」は、この日の委員からの意見を踏まえ、垣添会長と事務局側で次回会合までに取りまとめる。
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「たたき台」案では、高齢化によるがん患者数の増加も見込まれるため、拠点病院と地域の医療機関の一層の連携が必要だと指摘。その上で、地域、都道府県それぞれの拠点病院の役割や指定要件について提案している。
都道府県の拠点病院については従来通り、都道府県におけるがん診療の質の向上や、連携協力体制の構築の中心的な役割を担うこととした。このほか、ドラッグ・ラグの解消につながる取り組みを行うべきだとし、臨床研究の推進を担うことを新たな指定要件として加えるよう提案している。今後、中央社会保険医療協議会(中医協)の動向などを見て、詳細を検討していく方針。
一方、地域の拠点病院については、患者に対する専門的ながん医療の提供や、チームによる緩和ケアの実施などの従来の役割に加え、今後は地域連携の取り組みを評価する体制づくりなどを提案している。
また、配置に関しては、▽従来通り、二次医療圏ごとにおおむね1か所整備することを目指す▽人口や患者の受療行動などを勘案して、都道府県ごとに弾力的に検討する-の2パターンを提案。ただし、二次医療圏内において、指定要件を満たす病院の整備ができない場合のみを対象に、地域連携の拠点となる「準がん診療連携拠点病院」も例外的に整備できることとした。
この日の会合で、天野慎介委員(NPO法人グループ・ネクサス理事長)は、「準がん診療連携拠点病院」を整備する案について、「1、2時間かけて外来治療に通う厳しい状況の患者さんもいるので、意義があることではないか」と賛意を表明した。ただ、「都道府県によっては、独自のがん医療圏を設置しているところもあるので、弾力的な運用を取り入れていく必要があるのではないか」との認識も示した。
次回会合では、相談支援体制や情報提供をテーマに集中審議を行う。
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