中央社会保険医療協議会の薬価専門部会(部会長=西村万里子・明治学院大教授)は14日、日米欧の製薬団体と日本医薬品卸業連合会の4団体から、2012年度薬価改定についてヒアリングを行った。この中で、日本製薬団体連合会(日薬連)の庄田隆会長(第一三共会長)は、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の試行期間を14年度改定までの2年ではなく、4-6年とするよう求めた。また、長期収載品(後発医薬品のある先発品)の薬価の追加引き下げに「大変大きな懸念を持っている」と表明した。
14日のヒアリングで庄田会長は、同加算の導入に伴い製薬企業側がより積極的に取り組むことを求められたドラッグ・ラグ解消などの成果の検証のため、「2年ごとの検討ではなく、少し長い試行期間の設定をお願いしたい」と主張。また、米国研究製薬工業協会(PhRMA)の梅田一郎在日執行委員会委員長(ファイザー社長)は、「国の財政事情などにより加算率が変動したりすれば、世界における日本市場の魅力が減退し、投資促進効果は限定的になる」として、安定的な運用を要望した。
また、後発品の使用促進が十分進んでいないことを理由に長期収載品を追加で引き下げることについては、4団体すべてが反対の意思を表明。庄田会長は、「後発品の使用促進が政府目標に達していないことについて、先発品メーカーに責任を負わせることは合理性がない。企業経営に甚大な影響を与えるため、容認できない」と強調。欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)の加藤益弘会長(アストラゼネカ会長)も、「現行ルールで5000億円もの薬剤費が削減されようとしている上、さらに追加的な薬価引き下げを行うことで、イノベーション推進の流れに逆行するようなことがないよう強く要望する」と述べた。
意見交換で安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、同加算の恩恵を受けた企業とドラッグ・ラグ問題に取り組んでいる企業とのミスマッチを是正する必要性を指摘。さらに、製薬企業が医薬品の取り引きの価格設定において、想定外の行動をとることがないよう「(同加算を)2年ごとに見直さなければならない」とした。
また、長期収載品の薬価の追加引き下げについて、白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「後発品が上市された際の先発品の薬価について、場合によっては後発品の値段まで下げるべきとの意見も一部であり、それとの兼ね合いをどう考えるかという視点も必要」と述べた。
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