医療現場の過酷な勤務実態が連日のようにメディアに取り上げられ、「医師不足」が大きな社会問題と認識されるようになって数年。この間、医学部の定員増や地域枠の設定、勤務環境の改善など、幾つもの対策が取られてきた。しかし、現場の勤務環境はまだまだ厳しい。特に不足が指摘される産婦人科では、「週50時間の勤務に加えて月6回の夜勤当直」という状態が続いており、関係者は危機感を募らせている。【烏美紀子】
■集約化するも勤務環境は変わらず
同調査から、まずは基礎的データを見てみよう。回答施設の常勤医師数は4916人(男性3013人、女性1903人)。有効回答率が同程度だった08年調査と比べると、常勤医は2割近く増えた。施設当たりの常勤医師数も6.3人と増加傾向にある = グラフ 1 = 。一方、年間の分娩件数は1施設当たり平均522件で、10.0%増加。常勤医1人当た りでは82.9件で、15.7%の減となった =グラフ2= 。
分娩を扱う病院数は減少傾向にあり、それに伴って「お産の集約化」「医師の集約化」が図られたこと、さらに医師数全体が微増したことにより、一見すると医師1人ひとりの負担は軽くなったような印象を受ける。
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