この春の診療報酬改定で新設された「退院支援加算1」が、病院関係者の注目を集めている。ただ、退院支援部門に専従職員を1人以上配置したり、20カ所以上の医療・介護施設と顔の見える関係を構築したりする必要があるなど、届け出までのハードルは高い。4月から算定している医療機関は、改定までにどう動いたのか―。今後の地域包括ケアシステム構築の一つのカギともなる、新たな加算をめぐる動きを取材した。【敦賀陽平】
厚生労働省は昨年7月、中央社会保険医療協議会(中医協)の分科会で、改定に向けた論点の一つとして初めて退院支援部門の評価に触れた。そして、翌月下旬に分科会がまとめた中間報告には、退院支援業務に専任・専従する職員の配置が、円滑な在宅復帰に効果があるとする分析結果が盛り込まれた。
退院支援加算1では、▽退院支援部門に看護師または社会福祉士(MSW)1人以上を「専従」で配置する▽この専従職員が看護師の場合は社会福祉士、社会福祉士の場合は看護師を同部門に「専任」で配置する▽退院支援業務等に専従する看護師または社会福祉士を2病棟(計120床まで)に1人以上「専任」で配置する―などの基準が設けられている。
4月に退院支援加算1を届け出た小張総合病院(千葉県野田市、一般350床)は、分科会の中間報告がまとまった昨年夏の段階で、社会福祉士の採用に向けて動きだした。
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