薬局、今こそ10年後へのビジョン確立を 2017年02月09日 14:00 リンクをコピー X ポスト シェアする noteで書く 保存 印刷用 【関連記事】 今年に入り、2018年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に向けた議論が本格的に始まった。医療・介護業界にとって極めて重要なターニングポイントとなるこの同時改定は、再編が進んでいる調剤薬局業界にどのような変化をもたらすのか―。「調剤薬局業界 経営サミット」で講師を務める日本M&Aセンターの渡部恒郎・業界再編部長は、改定によって事業所間の優勝劣敗がさらに明確になると予測しながらも、今後の薬局経営では、報酬改定にとらわれた対応からの脱却と10年後を見据えた中長期的なビジョンこそが不可欠と強調する。 ■厳しい改定が薬局の優勝劣敗をさらに明確に ―18年度には調剤報酬改定が予定されています。この改定が調剤薬局に及ぼす影響について予測をお願いします。 当たり前のことですが、改定を通じて国が指し示す方向に合致した経営を心掛ける薬局は売り上げを伸ばすでしょうし、合致できない事業所の業績は伸び悩むでしょう。そして厳しい改定によって優勝劣敗の差が明確になるほど、調剤薬局同士の連携やM&Aは加速するでしょう。 ―厳しい改定に伴い、調剤薬局間の優勝劣敗がさらに明確になると予測されているわけですね。 既に前々回の改定から厳しい方向に舵が切られています。その流れは18年度の改定でも変わらないでしょう。 ただ、忘れてはならないのは、2年ごとの改定だけにとらわれていては経営は安定しないということです。重要なのは10年後を見据えた中長期的なビジョンを確立し、それに沿った活動に取り組むことです。 渡部部長が登壇するセミナーはこちら ■中長期ビジョン確立へ、大切なこと ―中長期的なビジョンを確立する上で意識すべきことは、やはり在宅分野への進出でしょうか。 それもありますが、よりずっと大切なことがあります。それは、患者にとって本当にいい薬の提供を追求することです。さらにいえば、薬の効果を測定し、そのデータを集積することで、より患者1人ひとりに適した薬の提供を実現することです。 既に薬剤師は患者に対し、薬に関するアドバイスを行っています。ただ、現状では、そこまでが限界です。つまり、薬剤師個人の努力にとどまっているのです。 しかし、ここに薬局が積極的に関与すれば、薬剤師の個人の知恵を集合知に高めることができます。そして薬剤師が集めた患者と薬に関するデータを共有・分析することで、患者1人ひとりの状態に応じて、より適合した薬を提案するための有効なエビデンスを生み出すことができるでしょう。 さらに、このデータを業界全体で活用できるようになれば、薬剤師・薬局の業務は、もっと有意義なものになります。その実現のためには薬局業務のICT化の促進が不可欠です。同業他社や、医療・介護業界にある他業種との連携やM&Aの促進も必要でしょう。 ただし、10年後に向けてビジョンや戦略を練るといっても、簡単ではありません。その難しさは、今から10年前の業界を思い起こしていただければ分かりやすいかと思います。当時、アイングループが抱えていた店舗数は100カ所程度でした。それが今では約1000店舗を抱える巨大グループに成長しました。10年前、アイングループの急成長を想定し、それを織り込んだ中長期ビジョンを構築した経営者が、一体どのくらいいたでしょうか。 変化の激しい調剤薬局では、中長期的なビジョンを確立するのは、相当難しいのです。 日本M&Aセンターでは、有能な経営者を招き、10年後を見据えた講演を行います。各薬局が10年後を見据えた戦略を練る上で、大変、有益な足掛かりとなるはずです。 ■M&A、小規模事業所ほど早い決断を ―10年後を考える上で、薬局のM&Aの“旬”は、いつまで続くでしょうか。 どの業界でも再編は15年から20年かけて行われ、上位10社のシェアが50%程度を超えると、大手の全国展開がほぼ完了し、1店舗くらいの小規模では売買そのものが難しくなります。 つまり、規模の小さな事業所であればあるほど、M&Aを決断するなら早い方がよいのです。 ちなみに業界全体を考えて行動したいという志の高い人にとっても、M&Aは有効な選択肢となり得るはずです。規模の小さな薬局の経営者であっても、業界に大きな影響力を持つ大資本の経営に参画するチャンスが得られるからです。実際、ドラッグストアでは、年間売り上げ10億円程度の店舗の社長だった人が、3000億円程度の企業の役員になった例もあります。 渡部部長が登壇するセミナーはこちら 1 医療介護経営CBnewsマネジメント 生き残るための医療・介護の経営情報が満載! 【関連記事】 【掲載一覧】