「社会保障と経済の好循環」をテーマに、日本医師会(日医)の横倉義武会長や、経済財政諮問会議の民間議員を務める新浪剛史・サントリーホールディングス社長ら4人が意見を交わすパネルディスカッションが、このほど東京都内で開催された。医療による安心や健康づくりが経済成長を支えるといった考え方に一致が見られた一方で、国民皆保険制度を持続させるための方策をめぐっては、さまざまな案が上がった。【佐藤貴彦】
この中で横倉会長は、将来の社会保障に対する国民の不安が、消費を低迷させる要因になっているなどと指摘し、「医療は国の経済に活力を与える投資だ」と強調。また遠藤教授は「本質的には、社会保障を通じた医療支出は非常に高い経済効果を持っている」、印南教授は「(医療の)成長下支え論には根拠がある」などと述べ、横倉会長に賛意を示した。
新浪社長も、少子・高齢化が進んで現役世代の人口が減ることから、「多くの方々が健康で仕事を続けていただけることが、社会の生産性向上につながる」と指摘。また、国が疾病予防に力を入れれば「民間企業の投資も起こる」とも述べ、医療と経済成長との関係をめぐるパネリストの見解はおおむね一致した。
■給付範囲見直しか、医療者の「賢い選択」か
これに対し、国民が安心できる持続可能な国民皆保険制度をつくる上での課題や対策をめぐっては、さまざまな意見が出た。
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