人が逃げ出す介護事業所、集まる事業所 2017年02月16日 17:00 リンクをコピー X ポスト シェアする noteで書く 保存 印刷用 【関連記事】 どうがんばっても人が採用できない。やっと採用できたと思ったら、今度は入職した以上の人が辞めていく。なのに、なぜ、競合のあの事業所には人が集まるのか-。こんな悩みを抱える介護事業者も決して少なくないはず。コンサルタントとして約10年にわたって介護職員や介護事業所と向き合ってきたキャリアブレインの福山拓也・中国四国エリアマネージャーは、人材が定着しない事業所には、求人の段階から共通した特徴が見受けられると指摘する。 ■求人と現実のギャップが生む悪い口コミ 人材の採用がうまく行かなかったり、採用しても人が定着しなかったりする事業所の求人票は、現実の業務がイメージしにくい内容になっている場合が多いですね。例えば、単に介護職急募や相談員募集、といった内容だけしか書かれていないような事業所が結構ありますが、働く側からしてみれば、それだけの内容では、「応募してみようか」とは、ちょっと思えません。 特にいけないのは、求人票に書かれている内容と現実の業務が違う事業所です。具体的には、相談員として採用した人に介護も任せたり、介護職として雇用した人に営業も兼務させたりする事業所のことですが、こうした事例は案外多いのです。求人票どころか社長との最終面談で確認した業務と現実の業務が異なっていたという例も、かなりあります。 当然ながら、こうした事業所ではいくら人を採ってもすぐに辞めるという状況に陥ります。そして、求人票や面談で言った内容と現実の業務にギャップがあるような状態が続くと、どんなに良い条件で、いくら募集をかけても全く応募がこなくなります。介護職員は事業所を超えて横のつながりを持っていますが、そのネットワークの中で「あの事業所は募集内容とは違う仕事をやらされる」という悪い口コミが広がってしまうためです。 ■ギャップを生まないための第一歩とは? 求人内容と現実の業務のギャップは、経営者や求人を出す採用担当者が現場の実情を把握しきれていないことによって起こります。現実の業務がイメージしづらい求人票が作られる理由もそこにあります。逆に言えば、経営者が現場と適切にコミュニケーションを取り、その状況を的確に把握していれば、求人内容と現実の業務のギャップなど発生しません。 経営者が現場と適切にコミュニケーションを取ること。そして、できれば現場の状況を把握するだけでなく、経営の状況も職員と共有すること。それこそが人材を確保し、定着させる上での第一歩といえるでしょう。 実際、経営者が現場と適切にコミュニケーションできている職場では、それほど人手不足に悩んではいません。経営者と意識や情報を共有できていることが従業員の満足度の向上につながり、離職が抑えられるからです。そして、従業員の満足度が高い職場では、新たな人材確保も容易です。「あの職場はいい」という口コミが、介護職員のネットワークによっておのずと伝わっていくからです。 中には「私はちゃんと現場とコミュニケーションを取っているが、それでも人が辞めていく」と思う経営者もいるかもしれません。確かに、ほとんどすべての経営者はなんらかの形で現場とコミュニケーションを取ってはいます。しかし、それによって経営者の意思を適切に伝えたり、現場の状況を把握できたりしているとは限りません。 ■問われるのは経営者の表現力 ここで問われるのが経営者の表現力でしょう。表現力とは、自分が何を考え、何を目指しているのかをどこまで適切に現場に伝えることができるか、ということ。そして表現力を高めるために配慮すべきポイントが「情報」と「会話」の確保です。 「情報」は、伝えるための機会の確保と置き換えてもいいでしょう。一般的な方法としては朝礼や社内報、社内での勉強会といったことが挙げられます。方法は、それぞれの事業所にあった方法でいいのですが、大切なことは継続すること。そして、経営者自らがかかわり続けることでしょう。 「会話」は、文字通り従業員との会話です。これも従業員にあわせてさまざまなスタイルが考えられますが、特に大切なことは「長さより回数」といえるでしょう。つまり、たまにまとめて話すのではなく、日常的に少しずつ会話していくことが大切、ということです。 いずれにせよ、経営者は日常的に現場とかかわり続ける必要があります。中には、「自分よりも年配の従業員が多い現場に出向いて、お小言を頂くのは、ちょっとしんどい」と思う人がいるかもしれません。しかし、そのしんどさを乗り越えることこそが人材定着の入り口です。 ■経営者が決して口にしてはならない言葉とは? 最後に、求職者から見て、これは絶対にあり得ないという経営者の考え方を紹介します。介護の経営者の中には、辞めた人の分は採用すればいいと考え、「人材は2~3回転するのが普通」と公言する人もいます。 この考え方、他業種や過去の介護業界では通用したのかもしれません。しかし、圧倒的に人手が不足している現在の介護業界においては、全く通用しません。 当たり前のことですが、ほとんどすべての人が「新しい職場で少しでも長く働きたい」と考えて職を探します。そんな求職者にとって「離職はあって当然」という職場が魅力的に感じられるでしょうか? 繰り返しますが、今の介護業界では、「辞めた人は採用すればいい」は通用しません。ですので「人材は2~3回転するのが普通」という言葉は、経営者としては、口にしてはならないのです。当然ながら、人件費抑制のために離職を容認するような発言もNG。今、この厳しい時代に介護事業所を経営するのであれば、「少しでも長く働いてもらい、この会社で成長してもらいたい」という意識で人材と向き合わなければならないのです。 ※介護経営セミナー「カギは人材確保!魅力的な職場をどう作るか」の情報はこちら 1 医療介護経営CBnewsマネジメント 生き残るための医療・介護の経営情報が満載! 【関連記事】 【掲載一覧】 【関連キーワード】 介護従事者の処遇 人材確保