医療と介護の両方にまたがってサービスが提供されることが多いリハビリテーション。医療・介護の連携を実現する上で重要な役割を果たすサービスだ。それだけに、7日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶大名誉教授)でも、訪問リハビリテーションに関する議論に長い時間が割かれた。この日、厚生労働省は、退院後の利用者への早期のサービス提供の開始や医師の関与の促進など、今後の訪問リハビリで実現すべき事柄や解決すべき課題を「論点」として提示。これを受けての議論では、厚労省が示した「論点」の解決の必要性を指摘する意見が相次いだ。【ただ正芳】
訪問リハビリは、特に通院が困難な人を対象としたサービス。事業所数は全国で3817カ所、利用者数は約9.2万人いる(2016年4月現在)。介護保険制度上では、通院によって同様のサービスが受けられる場合は、通所系サービスの利用が優先される。
現状の訪問リハビリの課題として、厚労省は2年以上継続して利用した人が20.5%いる上、長期目標を達成した後のサービス移行の予定として「訪問リハビリの継続」を挙げる人が最多であるなど、サービスから“卒業”できないままの人が多いことを挙げた。
また、退院から14日未満で訪問リハビリの利用を開始すると、機能回復が期待できることがデータで示されているにもかかわらず、退院後に訪問リハビリの利用を開始するまで2週間以上かかった人は32.0%、4週間以上かかった人は23.5%いる点も課題として提示。質の高いサービス提供を目指し、15年度の介護報酬改定で創設された「リハビリテーションマネジメント加算(II)」を届け出る事業所が、「医師の会議への参加が困難」などの理由から14.1%にとどまっている点も課題とした。
(残り1435字 / 全2196字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】