2018年度の介護報酬改定に向け、通所介護の報酬に関する議論がスタートした。21日、厚生労働省は社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶大名誉教授)に、通所介護における夜間帯のサービス提供体制の充実などを念頭に置いた論点を提示した。しかし、委員からは「人手不足が深刻な中、現実的ではない」「悪質なサービスを助長しかねない」などの異論が相次いだ。【ただ正芳】
通所介護は、「利用者の社会的孤立感の解消」「心身の機能の維持」「利用者の家族の身体的・精神的負担の軽減(レスパイトケア)」の実現を目的としたサービス。事業所数は4万3440カ所、利用者数は約190万人(いずれも15年度末段階)で、すべての介護保険サービスの利用者の3人に1人が利用している。
このサービスについて、昨年12月に取りまとめられた社会保障審議会介護保険部会の意見書では、18年度の介護報酬改定に合わせて通所リハビリテーションとの役割分担と機能強化を検討する必要性が指摘された。
また、昨年12月に閣議決定された「経済・財政再生計画改革工程表2016改定版」では、18年度介護報酬改定での給付の適正化を検討すべきという内容が盛り込まれた。今年4月20日に財務省の財政制度等審議会財政制度分科会が提出した資料では、「機能訓練などの自立支援・重度化防止に向けた質の高いサービス提供がほとんど行われていないような場合は、事業所の規模にかかわらず、基本報酬の減算措置も含めた介護報酬の適正化を図るべき」との意見が示されている。
さらに5月10日に自民党が発表した「一億総活躍社会の構築に向けた提言」には、介護をする人の仕事との両立を支援する観点から「特に夜間帯のデイサービス提供体制を充実させるため、平成30年度介護報酬改定において夜間帯の加算措置を十分に検討すること」という内容が盛り込まれた。
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