全世代型社会保障検討会議の第1回会議での発言内容は、70歳までの就業機会の確保、年金受給開始年齢の選択肢の拡大、疾病や介護の予防など、社会保障全般について持続可能な改革を図る必要がある、との意見に集約できるとされた。西村康稔担当相が会議後、記者会見で説明した。しかし、公表された議事録では、多くの構成員が取り上げたのは後期高齢者の窓口負担増を中心とした医療に関する給付と負担の見直しだった。ただ、西村担当相は、今後、与党の意見も踏まえることとし、「ばっさり切るようなことは考えていない」との考えを示している。慎重に対応していく姿勢だ。【ライター 設楽幸雄】
第1回検討会議は9月20日に開催された。その終了後の記者会見の冒頭で、西村担当相は構成員からの発言内容を紹介したが、給付と負担の見直しに関する発言があったことに直接的には触れなかった。「人生100年時代を見据えながら、社会保障全般にわたる持続可能な改革を図る必要がある」との意見があったとし、この中に給付と負担の見直しに関する発言があったことも含めたとみられる。
しかし、公表された議事録では、五十音順での指名として最初に発言した遠藤久夫構成員(社会保障審議会会長)が、「給付と負担の見直しを進める必要はある」として、給付と負担の見直しの議論の口火を切る形となった。
一方、この問題では、▽国民、保険者、事業者それぞれの考えがあり、コンセンサスを得るのは難しい▽財政論のみから議論を進めても、将来への不安が募り、国民や事業者の納得が得られないことも考えられる▽医療や介護のあるべき姿を示す中で、給付と負担のあり方を考えていくことが重要▽見直しによって経済的な格差が拡大することのないように留意が必要-などとした。慎重な取り組みを求めたものだ。
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