社会保障審議会の介護保険部会は21日、2040年に向けたサービス提供体制の在り方の議論を始め、人口減少が進む中山間地域などでサービスを維持・確保するため常勤・専従要件などの配置基準の運用を条件付きで弾力化することに、慎重な検討を求める意見が相次いだ。【兼松昭夫】
介護保険サービスの質が低下したり、介護現場の業務負担が増したりしかねないためで、引き続き検討する。
厚生労働省の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会が10日に行った中間取りまとめでは、▽サービス需要の変化に応じた提供体制の構築▽人材確保・生産性向上・経営支援▽地域包括ケアシステムの深化と医療介護連携-の3つのテーマごとに今後の方向性を打ち出した。
サービス需要の変化に応じた提供体制に関しては、介護需要の減少が始まっている「中山間・人口減少地域」で介護サービスを維持・確保するため、常勤・専従要件など人員配置基準の運用を条件付きで弾力化することを検討するとしている。
介護保険部会は21日、検討会の中間取りまとめを踏まえ、40年に向けたサービス提供体制の在り方の議論を始めた。
ただ、人員配置基準の運用を弾力化することに対しては、橋本康子委員(日本慢性期医療協会会長)が「(人員配置を)緩やかにすると、ただでさえ人が足りないところで人がもっと少なくなり、サービスの質が低下したりスタッフの負担が大きくなったりすることもある」と指摘するなど、慎重な検討を求める意見が相次いだ。
小林司委員(連合総合政策推進局生活福祉局長)の代理で出席した参考人は「安易に緩和することで、逆に利用者や働いている人にしわ寄せが及んではならない」と述べた。
津下一代委員(女子栄養大教授)は「どのように弾力したらどのような結果が出るのか、きちんと見極めながら適切な弾力化や柔軟な対応につながるといいと思う」と述べた。
介護保険部会では、中間取りまとめに盛り込まれた3つのテーマから議論し、その後は検討会が夏ごろ行う取りまとめを踏まえ、福祉分野と共通のその他の論点を取り上げる。
厚労省によると、介護保険制度改正の骨格は冬ごろ取りまとめる見通しで、同省は、27年度に始まる第10期の介護保険事業計画(29年度まで)に反映させる方針。
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