一方、診療報酬に関しては、「賃金指数」や「消費者物価指数」などの指標との単純な連動ではなく、政府・日銀の物価安定目標と連携させることを提言した。
賃金・物価の動向と診療報酬の乖離は医療機関単独の経営努力では解決できないインフレ進行時の構造上の問題だと指摘し、物価政策と診療報酬の整合性を中長期的な視点で取ることで、地域医療の持続可能性の確保を図るべきだとしている。
日医総研では、コロナ禍以降の病院経営の最新事情や民間病院のM&A市場の動向・実態を医業経営支援の専門家やコンサルタント10人からインタビューし、政策提言をまとめた。
最近の病院経営に関しては、▽現在の病棟を30-40年前に建てた病院は順次、建て替え時期を迎えているが、物価の上昇で建築コストが5-10年前の倍以上の単価になってしまい、事実上建て替え不能の状況にある▽診療報酬に単価設定の縛りがあるため、インフレ基調になって人件費と物価が高騰するとたちまち経営が立ちゆかなくなる▽高齢者住宅や介護関連施設、在宅医療に慢性期の入院患者が流れてしまった-などの声があった。
ほかに、コロナ禍に行われた「ゼロゼロ融資」(無担保・無利子の融資)の返済が25年夏に始まるため、キャッシュフロー上のリスクに拍車を掛けるという指摘もあった。
一方、病院のM&A市場の動向・実態に関しては▽10年ほど前に比べ、いわゆる大手病院チェーンのM&A意欲は落ち着いている印象▽最近では大手病院チェーンよりもファンドの方に勢いがある印象-などの声があった。
日医総研では、建て替え問題や経営悪化を背景に民間病院の第三者承継や M&A の案件が都市部を中心に増えているが、病院の形態や所在地によっては引き受け先を探すことができないケースも想定されるとしている。
また、病院・診療所や医療法人のM&Aを支援する仲介事業者に悪質な事業者が混在しているため、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」を医療に拡大したり、将来的には厚生労働省主導で資格・免許制度を創設したりして質を担保することも求めた。
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