厚生労働省は1月13日に開かれたDPC評価分科会で、DPC対象病院に適用する調整係数を2012年度の診療報酬改定で原則廃止する代わりに、基本的な診療機能を評価するための「基礎係数」を複数の病院群ごとに設定する内容の見直し案を提示した。ただ、現在の調整係数が担う役割のうち、「DPC制度への参加のインセンティブ」については、今年度の報酬改定で新設した「機能評価係数2」(新係数)に引き継がせる。分科会では、こうした見直しを目指す方向で一致した。
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西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院名誉院長)が、中央社会保険医療協議会の総会に月内にも報告する。
調整係数は、診断群分類の包括評価による診療報酬が、改定前年の医療費実績と同じになるよう、DPC対象病院ごとに設定する仕組み。DPC制度を円滑に運営する観点から導入されたが、個別のDPC対象病院ごとに、診療報酬改定のたびに継続して設定されるため、DPCに参加した時点での出来高による報酬水準がいつまでも維持されることになる。
昨年12月16日に開かれた分科会では、こうした仕組みを見直すことで合意した。
厚労省側が提示した見直し案によると、現在のDPC対象病院を施設の特性によって幾つかの病院群に分類。現行の調整係数に代わり、報酬改定前2年間の出来高実績データから算出した病院群ごとの平均値を「基礎係数」として設定する。また、こうした見直しに伴う影響を少なくするため、包括評価に「一定幅」を上乗せする。
調整係数は、今年度以降の診療報酬改定で段階的に廃止し、新係数に順次、切り替えることになっていたが、厚労省はすべての機能を移行させるのは困難だと判断。調整係数を次の報酬改定で原則廃止する一方、基本的な診療機能を評価する「基礎係数」を病院群ごとに設定する形に切り替えることにした。また、調整係数がカバーする「DPC制度への参加のインセンティブ」などの役割は、新係数に引き継ぐ方針だ。
病院群の考え方として厚労省側は、「特定機能病院」を例示したが、具体的な病院群の設定や、「一定幅」による評価の仕方などの具体的な内容は、年度内に詰めたい考えだ。
現在の調整係数は個別のDPC対象病院ごとに設定しているのに対し、見直し後は病院群ごとの「基礎係数」に一本化される。厚労省保険局医療課の迫井正深企画官は、「思いっ切りシンプルになる」と説明した。
しかし、同じ特定機能病院でも調整係数の数値には開きがあり、病院群ごとの「基礎係数」に一本化すると、数値が高い病院ほど大きな影響を受けることになる。このため13日の分科会では、委員から「(病院群ごとに)全く同じ基礎係数を付けると大変な混乱が起きる」(小山信彌・東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)といった意見も出た。
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