中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は3月2日の総会で、新規アルツハイマー型認知症治療薬である第一三共のメマリー錠、ヤンセンファーマのレミニール錠、OD錠、内用液を含む13成分31品目の薬価収載(11日付)を了承した。
【関連記事】
新規アルツハイマー治療薬2品目が製造販売承認を取得
アルツハイマー病患者が20年には167万人、市場規模は2900億円に
半世紀ぶりに新規経口抗凝固薬の製造販売承認を取得―ベーリンガー
痛風・高尿酸血症治療薬が承認取得-40年ぶりの尿酸生成抑える新薬
武田薬品の糖尿病治療用配合剤など承認を了承-医薬品第一部会
メマリーの薬価は20mg1錠427.50円などで、レミニールは8mg1錠213.80円など。いずれも、現在、国内で唯一のアルツハイマー型認知症治療薬であるエーザイのアリセプトの1日薬価(427.50円)に合わせて算定され、補正加算は適用されなかった。
メマリーは1日1回5mg(5mg1錠133.90円)から投与を開始して、1週間に5mgずつ増量し、維持量は20mg。一方、レミニールの投与は1回4mg(4mg1錠119.60円)を1日2回から開始。4週間後に1回8mgに増量する。また、症状に応じて1回12mg(12mg1錠271.00円)まで増量できる。
メーカーはピーク時の売上高(薬価ベース)を、メマリーが471億円、レミニールが328億円と予測。また、エーザイの決算資料によると、アリセプトの売上高(決算ベース)は2011年3月期で1090億円を見込んでいる。
また、国内では1962年以来、半世紀ぶりの経口抗凝固薬の新薬となる日本ベーリンガーインゲルハイムのプラザキサカプセルの薬価は、75mg1カプセル132.60円など。薬価算定組織が、これまで国内唯一の経口抗凝固薬で、類似の効能・効果を持つワルファリンは「薬価算定上の新薬に該当しない」と判断したことから、原材料費や製造経費などを積み上げる原価計算方式で算定。その際、ワルファリンが血液の凝固に関する検査が定期的に必要なのに対し、プラザキサはそれが不要になるなどの有用性が認められ、営業利益率を上乗せして算定された。
プラザキサの投与は1回150mgを1日2回。必要に応じて1回110mg(110mg1カプセル232.70円)に減量する。
このほか、帝人ファーマの痛風・高尿酸血症治療薬フェブリク錠は、40mg1錠106.60円など。同薬は尿酸を生成する酵素を阻害する尿酸合成阻害剤だが、同様の作用機序を持つアロプリノール(先発品はグラクソ・スミスクラインのザイロリック錠)は40年以上前に薬価収載されていることから、原価計算方式が採用された。その上で、アロプリノールが腎機能障害のある患者には減量を考慮する必要があるのに対し、フェブリクは中等度までの腎機能低下患者には用量調節を行わなくていいという革新性が認められ、営業利益率を上乗せして算定された。
投与は1日1回10mg(10mg1錠31.10円)から開始し、維持量は通常40mg。
今回、薬価収載が了承された各品目のピーク時売上高(薬価ベース)予想は次の通り。
プラザキサ(340億円)▽武田薬品工業の2型糖尿病治療薬ソニアス配合錠(131億円)▽中外製薬の骨粗鬆症治療薬エディロールカプセル(357億円)▽帝人ファーマのフェブリク(198億円)、気管支喘息治療薬オルベスコ吸入用(8億円)▽大日本住友製薬の2型糖尿病治療薬シュアポスト錠(49億円)▽田辺三菱製薬の鎮痛薬アクレフ口腔粘膜吸収剤(26億円)▽グラクソ・スミスクラインの急性肺血栓塞栓症治療薬アリクストラ皮下注(5.7億円)▽協和発酵キリンの慢性特発性血小板減少性紫斑病治療薬ロミプレート皮下注(32億円)▽ヤンセンファーマの乾癬治療薬ステラーラ皮下注(133億円)▽日本新薬の骨髄異形成症候群治療薬ビターザ注射用(52億円)
(残り0字 / 全1759字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】