厚生労働省は4月20日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、昨年度の診療報酬改定の結果を検証する特別調査のうち、明細書発行の原則義務化に関する調査結果(速報)を公表した。患者に明細書を発行している病院は、「一部の患者のみ発行」を含めると9割強に上る一方、今後の発行については、病院(外来)、歯科診療所、保険薬局、訪問看護ステーションで「希望しない」と答える患者が最も多かった。
調査は昨年12月8日―今年1月28日に実施。全国から無作為抽出した病院(1500施設)、一般診療所(1700施設)、歯科診療所(1000施設)、保険薬局(800施設)、訪問看護ステーション(500事業所)とその患者(または家族)を対象に、明細書の発行・受領状況やその影響などを調べた。回答した病院の8割は300床未満で、入院基本料(一般病棟)は10対1が最も多かった。各施設の回収率は病院43.5%、一般診療所41.6%、歯科診療所58.7%、保険薬局66.4%、訪問看護ステーション51.4%。
■患者からの問い合わせ、「変わらない」がトップ
「一部の患者のみ発行」を含めて明細書を「発行している」のは、病院が98.0%で最も多く、以下は保険薬局(97.8%)、一般診療所(84.3%)などの順。このうち患者から費用を徴収しているのは病院9施設、一般診療所15施設、歯科診療所13施設で、平均額は病院411.7円、一般診療所65.1円、歯科診療所695.0円だった。一方、療養の継続に支障が生じると医師が判断し、明細書を発行しなかった患者の割合は、「10%未満」が病院、一般診療所でいずれも9割強を占めた。
患者の明細書受領の意向については、「特に確認していない」がすべての対象施設(事業所)でトップ。また、明細書の内容に関する患者からの問い合わせ件数は、義務化前と「変わらない」との回答が病院、診療所、保険薬局、訪問看護ステーションでいずれも最多だった。診療所の明細書発行を評価するため、昨年度の報酬改定で新設された「明細書発行体制等加算」を届け出ているのは、一般77.0%、歯科8.3%だった。
■明細書、「まあまあ満足」が6割前後
調査日に明細書を「受け取った」と回答した患者は、病院(入院)で83.7%と最も多く、以下は病院(外来)74.7%、一般診療所66.7%などの順。受け取った患者に対して、内容の確認状況を聞いたところ、どの対象施設(事業所)でも「おおまかに確認した」が約半数を占め、明細書への満足度については「まあまあ満足している」がいずれも6割前後だった。
このほか、明細書の今後の無料発行については、病院(外来)、歯科診療所、保険薬局、訪問看護ステーションの患者で「希望しない」がトップで、その理由(複数回答)としては「領収証の内容で十分」「もらっても内容がよく分からない」などが多かった。
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