中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織「慢性期入院医療の包括評価分科会」(分科会長=池上直己・慶大医学部教授)は6月2日の会合で、医療療養病床の医療区分の在り方や、区分を決める基礎データとなるタイムスタディー調査の是非について意見を交わした。その結果、調査の有用性を評価する意見と、病床ごとにサービス提供時間に大きなばらつきがあるため、一概に数値で判断できないなどとする否定的な意見に分かれた。
会合では、武久洋三委員(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)が、自らが会長を務める日本慢性期医療協会が行った医療区分1の実態調査の結果について報告した。この中で武久委員は、最も状態が軽いとされている医療区分1でも、実際には重度意識障害やがんターミナルなども含まれており、ひとくくりにできないと主張。これに対し池上分科会長は、タイムスタディー調査などによる数値的論拠の必要性を指摘した。
同調査をめぐって委員からは、「どういう患者に手がかかっているかが分かる」「データに基づいた報酬改定を行う上で、これに代わる調査はない」などと有用性を評価する意見が上がる一方、「急性期は実調(医療経済実態調査)を基に診療報酬が付くのに、慢性期だけタイムスタディーが必要になるのは理解し難い」「患者へのサービス提供時間の長短と、ケアや処置の大変さは同じではない」「医師の能力ではなく、処置した時間だけが勘案されるのでは」などの否定的な意見も上がり、議論は平行線をたどった。
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