中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)の薬価専門部会は7月27日の会合で、昨年4月の新薬の薬価改定時に試行的に導入された「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の検証を開始した。中医協は、次回薬価改定以降も同加算を継続するかどうかを、製薬企業の未承認薬や適応外薬の開発・上市への対応を見て判断するとしており、会合では厚生労働省と製薬業界代表の専門委員が対応状況を報告した。委員からは、製薬企業の対応を評価しながらも、これらの開発がアンメットメディカルニーズへの対応などに貢献しているかどうかを検証する必要性を指摘する声が上がった。
一方、禰宜寛治専門委員(武田薬品工業コーポレートオフィサー業務統括部長)は、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会に加入する27社を対象に実施したアンケート調査を基に、業界全体の未承認薬や適応外薬の開発費、PMS費(市販後調査などの関連費用)を推計した結果を報告。それによると、開発費は3049億円(未承認薬1659億円、適応外薬1346億円、公知申請品目44億円)、PMS費は830億円(308億円、483億円、39億円)に上るという。
意見交換では、北村光一委員(日本経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)が、同加算の対象品目を持つ会社だけではなく、持たない18社も未承認薬・適応外薬の開発に取り組んでいることに触れ、「業界全体としてドラッグ・ラグの解消に真剣に、積極的に対応していただいている」と評価。ただ、今後の開発について治験を実施する場合には時間がかかることから、「治験を実施するものなどについては、開発に対する指針を見せていただく必要があるのではないか」と述べた。
また、小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は「もともとはアンメットメディカルニーズへの対応、ドラッグ・ラグの解消が狙い。そういった薬の開発に本当に光が当たっているのかどうかが、これからの検討のポイントではないかと思っている」と指摘した。
今後、薬価専門部会では9、11月の2回にわたって、同加算の検証を行う予定だ。
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