2012年度の診療報酬改定を検討している中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は10月19日の総会で、専任の医師、または看護師が行う小児患者の緊急度判定(トリアージ)を評価する「院内トリアージ加算」(10年度改定で新設)に関して、評価の対象を成人にも拡大する方向で一致した。
診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、検証調査で小児患者の保護者が「診療前に医師・看護師と話せることで安心感がある」など、トリアージ以外も評価していることを指摘した上で、「小児以外でも同様の結果が出るのではないか」との期待感を示し、対象年齢を広げることを提案。福井トシ子専門委員(日本看護協会常任理事)もこれに同調し、患者の待ち時間軽減などの観点から、評価対象の拡大を要望した。
■救急センターの軽・中症者への対応も論点に
一方、厚労省は高齢者の救急搬送件数が年々増加し、軽症患者の割合が高くなっている現状を説明。救急医療に直接関係する診療報酬を検討する視点として、軽・中度の症状の患者が、重症患者を受け入れる救命救急センターに集中しないよう対策を講じる必要性を示した。
これに対して診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、救急医療の視点だけでなく、在宅医療の充実などが救急車出動件数の減少につながる可能性を指摘し、「場合によっては介護を含めて、地域包括ケアなどに関するデータも出しながら議論をした方がいいと思う」と述べた。
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