中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は30日の総会で、入院中の患者が検査などで他の医療機関を受診する際、入院側の診療報酬が減額となる取り決めについて協議した。厚生労働省側は、精神・結核病床や有床診療所の入院患者が透析で受診する場合に限って、入院基本料の減額幅を縮小する案を示し、大筋で了承された。減額幅は、2012年度診療報酬改定の改定率などを踏まえて決定する見通しだ。
厚労省などの調査によると、精神病棟入院基本料、有床診療所入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料を算定している病院や診療所の入院患者が、他の医療機関を受診する割合が高かった。これは合併症の管理が困難なためで、同様の事態は結核病棟でも見られた。一方、透析患者に対する慢性透析療法が可能な施設は限られており、別の疾患で入院した場合、他の医療機関を受診する必要がある。
厚労省案はこうした現状を踏まえたもので、出来高病棟と特定入院料等算定病棟のいずれにも適用される。また、現在、共同利用が進められているFDG-PET検査などで受診した場合も、減額幅の縮小の対象とした。
診療側の嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長、山形大大学院教授)は高額な医療機器の共同利用について、その趣旨に理解を示した上で、「高額な医療機器があっても、そこに専門家がいない病院をたくさん知っている。患者さんにクオリティーを伴わない医療が提供されないか非常に心配だ」との懸念を示した。
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