中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は30日の総会で、同一医療機関で1日に複数の診療科を受診した場合、初・再診料の算定回数が制限されている現状について議論した。この中で厚生労働省側は、同一日に受診した2科目の再診料を一定の割合で算定可能とするよう提案した。医師の技術料としての必要性を訴える診療側に対し、支払側は、複数科受診は多様なケースが考えられるとして、評価対象に一定の制限を設けるよう要望。両側から過去の経緯を尋ねる声もあったため、これも含めて引き続き協議することになった。
一方、日本病院団体協議会(日病協)の調査によると、複数科の受診で初・再診料を算定できなかった患者の全体に占める割合は、昨年7月の1か月間で200床未満8.7%、200床以上11.5%。日病協の試算では、患者数割合による影響額は373億円、病床数では446億円に上っている。
■基本診療料のコスト分析の検討再開を
意見交換で支払側の白川修二委員(健保連専務理事)は、「1日で複数科を回るのにはいろんな理由がある」と指摘。その上で、「複数科に行ったら全部算定するような提案になっているので、それはおかしいと言っている」として、評価対象を限定するよう求めた。
これに対し、診療側の嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長、山形大大学院教授)は、「(複数科受診は)いろんな場合があるので、それはもう少し提示した方がいい」と同調。西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)も「本当は行く必要がないようなケースを除外できるよう、要件をつくってほしい」と要望した。
一方、支払側の花井十伍委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、病院における初・再診料の定義そのものが不明確として、「何に価値を見出すかをはっきりしないと、議論がかみ合わないのではないか」と問題提起。西澤委員はこれに賛同した上で、基本診療料のコスト分析に関する検討を中医協で再開するよう求めた。
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