中央社会保険医療協議会(中医協)の薬価専門部会(部会長=西村万里子・明治学院大教授)は7日、後発医薬品の使用促進が十分に進んでいないことを理由に、2012年度の薬価改定で長期収載品(後発品のある先発品)の薬価を追加で引き下げることを大筋で了承した。追加引き下げ率は決まっていないものの、12年度診療報酬改定での薬剤費全体の削減額は厚生労働省が2日に公表した約5000億円(試算値)を上回ることが確実となった。
今年9月時点でのシェアは22.8%で、前回改定の対応分を考慮しても25.8%にとどまり、目安値27.1%を1.3ポイント下回っている。同省の吉田易範薬剤管理官は、この1.3ポイント分の使用促進が達成されていた場合の財政効果を勘案した上で、追加引き下げ率を「前回の対応を参考にしながら決める」としている。
長期収載品の薬価引き下げをめぐっては、2日の同部会で「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の試行継続を決めた際、委員から「試行的継続の中には、追加引き下げもセットだと理解している」(安達秀樹・京都府医師会副会長)などの声が上がっていた。
一方、7日の同部会で厚労省側は、今回の引き下げ理由を後発品の使用促進が進んでいないためなどと説明。これに対し、安達委員は「後発品の使用が進まないことについて、先発品メーカーがペナルティーを受けるという考えはどういうことか」と批判。吉田薬剤管理官は「先発品メーカーだけの問題ではないと思うが、効率化できるところの利益を甘受している部分があるため、業界全体として医療費の効率化に向けて負担いただく特例措置もあり得るのではないか」と述べた。
また、小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は「いろいろな経緯もあり、理屈もあるだろうが、政府目標からシェアが大きく下回っている状況なので、長期収載品の薬価を相当程度引き下げるのは当然」との見方を示した。
こうした意見に対し、禰宜寛治専門委員(武田薬品工業コーポレートオフィサー業務統括部長)は「長期収載品の薬価がさらに追加で引き下げられると、経営に大きな影響を及ぼす」と強調。来週に予定されている同部会での製薬業界からの意見聴取の際に、業界としての意見を表明するとした。
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