厚生労働省は、患者のクレームに対応する相談窓口を設置するなど患者へのサポート体制を整備している医療機関を、2012年度診療報酬改定で評価することを検討している。医師と患者・家族の対立に中立的な立場の人が介入することで、不要な訴訟などを回避し、医師らの負担を軽減するのが狙い。7日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)の総会に提案した。
この日の総会で厚労省は、福井総合病院の取り組みを紹介。当事者らによる対応で患者らが納得しなかった例が02年4月から3年間で126件あり、中立的立場のジェネラル・リスク・マネジャーが介入したところ、いずれも訴訟に発展することがなかったという。中立的な立場の人が介入し、医師と患者・家族の関係を調整することで、不要な訴訟を回避でき、医師の精神的ストレスが緩和されるとの見通しを示した。
提案に対し診療側の嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は、「単なる相談窓口と、専門的な知識を持った窓口とは明確に分けるべきだ」と指摘した。
■院内対策トラブルを評価
厚労省はまた、職員に対する暴力や暴言、セクハラなどの「院内トラブル」への具体的な対応策をあらかじめ準備している医療機関を、12年度報酬改定で評価することを提案した。
厚労省によると、患者や家族から院内トラブルを受ける職種は看護師が最も多く、以下は事務職、医師などと続いている。院内トラブルを受け、悩みや不満を感じたことがある看護職員は、病院で約2割、診療所で約1割に上り、それぞれで、このうちの約7割が「離職を考えたことがある」という。
しかし、院内トラブルに対応したマニュアルやガイドラインを整備している医療機関は16.2%、暴力を回避するための職員研修を実施している医療機関は12.7%にとどまっている。
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