【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
■「参加」から「医療の質、効率改善」に対するインセンティブに変化
DPC対象病院において、医療機関別係数は病院収入を左右する極めて重要なポイントである。各病院では、DPC制度そのものを理解していない職員にも分かりやすいように、係数のインパクトを入院単価や入院収入に置き換えたりしているのではないだろうか。
今回はDPC医療機関別係数と共に、調整係数が2018年度(平成30年度)までに段階的に置き換えられる機能評価係数Ⅱの重要性を把握するための簡単な計算方法を紹介したい。そして先日、告示された暫定調整係数と機能評価係数Ⅱを用いて、医療機関個別の影響の見方を説明する。
医療機関別係数は、DPC病院Ⅰ-Ⅲ群ごとに定められる「基礎係数」、7対1入院基本料等の入院料の補正値と感染防止対策加算等の入院患者全員に算定できる加算などから構成される主に届出医療を評価した「機能評価係数Ⅰ」、効率的な医療提供や医療資源を多く投入する必要のある患者への医療提供等の診療実績の評価による「機能評価係数Ⅱ」、そして「暫定調整係数」の4つで構成されている=図1=。
前年度収入保証の「調整係数」(現在は暫定調整係数と基礎係数に分離)は出来高時代の診療報酬を担保することで、DPC制度への参加インセンティブと収入の激変緩和措置としての役割を担ってきた。調整係数は18年度までに機能評価係数Ⅱに段階的に置き換えられることとなっており、14年度の改定では、その置き換え率が25%から50%に引き上げられた。効率的な医療提供や医療資源を多く投入する必要のある患者への医療提供等の診療実績を評価する機能評価係数Ⅱへの置き換えは、すでに参加している病院間の比較・相対的評価に基づくインセンティブに変わることを意味している。厚生労働省が想定する急性期医療機関の多くはすでにDPC制度に参加しており、「参加」を促すインセンティブは不要になったわけだ=図2=。
図1 DPCの診療報酬算定方法における医療機関別係数の関係性
厚生労働省保険局医療課平成26年度DPC参加病院説明会・資料より引用
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