へき地保健医療計画と医療計画の統合を目指す厚生労働省の方針を受け、へき地保健医療対策検討会で今年8月から、統合に向けた課題や問題点の整理・検証が始まった。2つの計画の改正時期がずれているため、統一的な対策を示せない状況を改善する狙いがある。検討会の初会合では、自治体間の取り組みに格差が出ている実態が浮き彫りになっており、今後、検討すべきテーマを詰める作業が行われる見通しだ。両計画を統合することで、へき地医療の抜本的な改善が図れるのか。関係者は議論の行方を注視している。【新井哉】
1956年度から始まったへき地保健医療計画は、山間地や離島などの医療水準の向上を図るのが目的。この計画によって、66年に2920地区あった無医地区数が、2009年に705地区まで減少するなど一定の成果を挙げている。無医地区は、半径4キロほどの区域内に人口が50人以上居住し、交通機関を利用して医療機関まで片道1時間を超えることなどとされている。こうした無医地区に対し、巡回診療などの機動力の充実や医師派遣への助成が行われてきたほか、無医地区を中心に支援を行う「へき地医療支援機構」を設置するなどしてきた。
しかし、昨年度の調査で、へき地のある43都道府県のうち、へき地医療に従事することを条件とした「地域枠」については約4割、歯科医師や看護師、薬剤師の確保や研修支援を行っているのは約3割にとどまっていることが判明。全国的に、へき地で勤務する医師確保の体制が十分ではない実態が浮かび上がった。また、山梨と長野、佐賀の3県では、へき地医療支援機構を設置しておらず、自治体間の取り組みに格差が出ているのが実情だ。
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