【大滝恭弘(帝京大学医療共通教育研究センター准教授、医師、弁護士)】
急激な医療の専門化・複雑化の進行により、患者の診療に複数の診療科の医師が携わるようになった。チーム医療推進の機運の高まりとともに、多くの医療専門職が診療に主体的に参加するようになり、現在推奨されている円形のチーム医療モデルも浸透しつつある。もっとも、現行法制度がこのチーム医療モデルと相容れないことは前回述べた通りである。
ところで、以前は、業務が比較的単純であったため、医療過誤における法的責任の所在は比較的明らかであった。しかし、業務が複雑化し、複数の医療従事者が診療に関与するようになったチーム医療では、その責任の所在が分かりにくくなっている。チーム医療で、ある医療従事者の過失により患者に損害が生じた場合、その責任は誰がどのように負担するのであろうか。
チーム医療における医療過誤、すなわち複数の医療従事者が関与する医療過誤には、さまざまなパターンが存在する。 (残り4038字 / 全4454字)
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