この春、スマートフォンを活用した患者向けの新サービスが次々に登場している。こうしたICT(情報通信技術)を使ったサービスは今後、医療者の負担軽減や患者の待ち時間の解消などにつながることが期待されている。開発した企業などを取材した。【敦賀陽平】
ソフトバンクは3月下旬、「スマート病院会計」という新たなサービスを本格的に始動させた。インターネット上で事前登録すれば、携帯電話料金などと一緒に1カ月分の医療費をまとめて支払えるというもので、患者は現金を持ち歩かなくて済む上、医療機関の窓口で待たずに帰宅できる。
対象は外来の保険診療のみ。患者側は医療費とは別に一回100円(税別)の利用料を支払う一方、医療機関側は年10万-20万円のシステム使用料を負担する。このサービスは会計の簡素化が目的のため、医療機関側は、医療費の明細書を発行しないことを事前に患者に同意してもらう必要がある(患者の要請があれば発行)。
同社では現在、東京都内のクリニックを中心に、全国53施設と提携しており、順天堂大医学部附属順天堂医院や東京医科歯科大医学部附属病院といった大病院も名を連ねている。来年3月末までに医療機関503施設、登録者11万3000人を目標に掲げている。
「現在、医療費を支払う際の選択肢は限られています。クレジットカードもあまり浸透していません。待ち時間の問題も解消できる、まさにスマートな会計だと思っています」。同社のデジタル企画統括部の高橋宏祐統括部長は胸を張る。
(残り2718字 / 全3346字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】