9日、社会保障審議会介護保険部会の報告書「介護保険制度の見直しに関する意見」(意見)が公表された。厚生労働省は、これを基に介護保険法改正案をまとめ、来年の通常国会に提出する方針だ。その内容を事業者、利用者、そして保険者である自治体に関連が深い部分に仕分けし、読み解く。【ただ正芳】
介護保険部会での議論の過程では、「軽度者に対する訪問介護における生活援助やその他の地域支援事業への移行」や「ケアマネジメントに利用者負担を導入」「軽度者への福祉用具貸与を保険給付外とする」など、思い切った改正が行われる可能性も浮上していた。
■事前の議論に比べて小幅な改正に見えるが…
これらのテーマのうち、「軽度者に対する訪問介護における生活援助やその他の地域支援事業への移行」に関しては、介護予防訪問介護と介護予防通所介護の総合事業への移行などを着実に進め、事業の把握・検証を行った上で、その状況を踏まえ検討を行う方針が示された。ケアマネジメントの有料化については、賛否両論があったことから、引き続き検討することが適当とされた。
福祉用具貸与を保険給付から外す方針は示されなかった。ただし、意見には、国がすべての商品の全国平均貸与価格を公表する仕組みをつくった上で、貸与価格に一定の上限を設けることや、福祉用具専門相談員が利用者に貸与しようとする商品の全国平均貸与価格を説明すること、機能や価格帯の異なる複数の商品の提示の義務化などが盛り込まれた。
まとめると、議論の過程で浮上した「大改革」が今回の制度改正で実現する可能性は、ほぼなくなった。そのためか、意見に盛り込まれた内容を概観すると、ずいぶん小幅な改正に落ち着いたようにも見える。
ただし、詳細に読み解けば、決して見落とすことはできない内容も盛り込まれている。特に通所系サービスの事業者にとって、今回の改正は油断ならない内容となると言えるだろう。
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