【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
前回取り上げたように、2018年度診療報酬改定では従来の7対1および10対1入院基本料が再編・統合され、それらが「急性期一般入院基本料」とされた。特に、急性期を本来の意味で狭義に捉えれば、入院診療単価の目安は6万円ではないかと述べた。ただ、急性期一般入院料4の病院では6万円には届かない。今回は、従来10対1入院基本料とされてきたこれらの病院のデータから実態を明らかにし、病院に求められる役割を示しつつ、「急性期医療~長期療養」に区分される地域一般入院基本料の病棟、地域包括ケア病棟等の今後の方向性を検討していく。
グラフ1、2には、急性期一般入院料4を届け出る病院で、かつ特定集中治療室管理料やハイケアユニット入院医療管理料等の重症系の特定入院料を届け出ていない施設の入院診療単価を示した(グラフ1はDPC対象病院、グラフ2は出来高算定病院)。
全体的に見ると、DPC対象病院の方が高単価だが、これは機能評価係数IIなどの医療機関別係数による影響のほか、そもそも一定の診療密度で、かつ在院日数の短縮に励む病院がDPC/PDPSという支払い制度に参加している影響もあるだろう。さらに、手術料は入院診療単価に強く影響を及ぼすが、状態の早期安定化に向けて積極的に手術を実施する病院がより急性期らしいというのは、誰もがうなずけるところではないか。
グラフ1 急性期一般入院料4を届け出るDPC対象病院の入院診療単価(急性期病棟のみ) クリックで拡大
グラフ2 急性期一般入院料4を届け出る出来高算定病院の入院診療単価(急性期病棟のみ) クリックで拡大
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次回配信は2019年1月7日5:00の予定です
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