中央社会保険医療協議会(中医協)の調査実施小委員会(会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は11月26日、来年度の医療経済実態調査について検討に入った。勤務医と開業医の所得の実態を正確に反映するため、厚生労働省側は、病院会計で計上される退職給付引当金について新たにデータを集計する考えを示した。
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医療実調は改定前後2年分のデータを-日医
昨年度の前回調査によると、開業医と勤務医の平均給与には1.7倍の差があったが、診療側委員が「実感と乖離している」と反発。「個人開業医の平均給与として示された収支差額には、退職金相当額の積み立て費用なども含まれる」と指摘していた。
政府の行政刷新会議が昨年11月に行った事業仕分け第1弾では、開業医と勤務医を平準化するなど、診療報酬の配分見直しと判定されたが、一方で、開業医と勤務医の平均年収の実態は、退職金の状況を踏まえて把握すべきだという意見も出されていた。
こうした経緯を踏まえ、厚労省側は小委で「調査票の上で、どんな工夫ができるか、専門家と相談し、検討する余地がある」とした。
このほか、今後の論点として厚労省側は、▽回答率を改善する手法▽年間(決算)データを2年分に拡充するか▽定点調査を実施するか▽サンプルの抽出数と抽出方法▽最頻値や標準偏差、地域特性の見える集計方法―を提示した。
2年分のデータを把握することについて、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「診療報酬改定の影響を見るのであれば(改定年度を)挟んで2年というのが、フェアで客観性も高い」と、必要性を強調した。
■「複数年の調査が大事」―日病協
一方、日本病院団体協議会は同日、代表者会議を開き、同協議会副議長で中医協委員の西澤寛俊・全日本病院協会長が、医療実調の検討が始まったことを報告。会議終了後の記者会見で、西澤氏は「ある時期でなく通年の調査、しかも複数年の調査が大事だということで、(代表者会議の)皆さん同様の考え方を持っていた」と述べた。
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