中央社会保険医療協議会(中医協)の薬価専門部会(部会長=森田朗・東大大学院法学政治学研究科教授)は12月15日、半年ぶりに会合を開き、後発医薬品の品数制限などについて議論した。厚生労働省保険局の吉田易範薬剤管理官は、1成分当たり20品目以上の後発品が出た場合、薬価を既収載品の最低価格の九掛けで算定するといった対応を取っている現行ルールに加え、「さらなる薬価上のディスインセンティブを与えるような枠組みをつくることも考えられる」とした。
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また、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「暴論かもしれないが、後発品が造れるようになった段階で、例えば数品目をめどに入札することもありなのではないか。これだけ1成分当たりに多品目があることは決して望ましいことではない」と述べ、三浦洋嗣委員(日本薬剤師会常務理事)も「何らかの形で方法も含め検討いただければ、在庫や医療安全の面からも助かる」と同調。
これに対し、白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は「ある先発品について後発品の品数を制限することは、市場経済の中ではあまり取るべき道ではない。後発品専業だけではなく、最近では新薬企業が後発品を販売する、あるいは配合剤の一部で後発品を使うといったさまざまなバリエーションが出てきており、これらを含め、全体として医療経済のコストが下がっていくという市場経済の原則を無視してはいけない」と慎重論を唱えた。
さらに、松谷高顕専門委員(東邦ホールディングス会長)が「プラバスタチンでは薬価が18種類もある。同じ成分で10種類以上も薬価があると、卸としても医療機関に説明しづらい」と、後発品の薬価のばらつきの問題に言及した。遠藤久夫委員(学習院大経済学部教授)も「後発品に銘柄別収載を適用していいかを再検討する必要がある」と指摘。「先発品でも同一成分・別銘柄で売られていると、価格差が存在することはあるが、販売努力の違いや対象としているマーケットの構造の違いなどの理由から、銘柄別収載を採用している。後発品の場合は異様な価格差で、同一成分でありながら価格差があることを合理的に説明することは難しい」と述べた。
このほか、先発品と後発品の薬価が同じ場合の「後発医薬品調剤体制加算」や「後発医薬品使用体制加算」などの診療報酬上の手当ての取り扱いについても議論した。吉田薬剤管理官は「現行のルールでは、後発品の薬価が先発品を上回っている場合はこれらの加算の手当ての対象外としているが、同じ価格のものについても、次回の診療報酬改定で同様の取り扱いにすることも考えられるのではないか」と述べた。
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