中央社会保険医療協議会(中医協)の調査実施小委員会(小委員長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は1月21日、2011年度に行う医療経済実態調査について引き続き議論した。厚生労働省側は、調査項目に退職給付費を新たに加えるなど、前回調査(09年度)からの改善点を盛り込んだ実施案を示した。
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退職給付費の調査は、開業医と勤務医の所得の実態を正確に把握するために追加する。「前回調査で個人開業医の平均所得として示された収支差額には、勤務医の所得では考慮されていない退職引当金に相当する費用も含まれている」との指摘を踏まえた。03年度調査までの項目を復活させる形で、退職給付引当金繰入額か退職金支払額の記入を求める。
このほか実施案では、調査年を前回の1事業年度から「今年3月末までに終了する直近の2事業年度」とし、複数年の決算データを取ることで、診療報酬改定の影響などを詳細に分析したい考えだ。調査年6月の単月データも引き続き集計する。調査対象の抽出率については、病院を前回の5分の1から3分の1に、一般診療所を25分の1から20分の1にそれぞれ変更し、サンプル数を増やす。
集計・分析の改善点では、平均値以外に中央値やヒストグラム分析などでのデータ解析を行うほか、地域性を反映させる集計区分を提案。これまでの国家公務員の地域手当の級地区分(7区分)だけでなく、試行的に介護保険制度の地域区分(5区分)、生活保護制度の級地区分(6区分)による集計も行うことで、人件費や物価・生活水準などの地域差を確認するとしている。
また、調査票に「自由記載欄」を設けることで、回収率の向上を期待している。
■小規模の診療所は調査項目の簡略化を―安達委員
議論では、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が、事業規模の小さい診療所については、回答の負担を軽減して回収率を上げる必要性を指摘。費用細目などは省き、全体の収支総額の回答を求めるといった簡略化を提案し、「(細目を)答えられない所がすべて落ちるよりは、小規模診療所のデータを取ることを考えてほしい」と述べた。
一方、保険者を対象とした医療実調の実施案については、前回と同様にするとされたが、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、「医療機関などの調査と同じく、複数年のデータを集計するのがよい」と提案。事務局側は、毎年行われている事業報告を活用することで対応が可能だと答えた。
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