中央社会保険医療協議会(中医協)は1月21日の総会で、今後の報酬改定の議論などに反映させていくため、医療と介護のそれぞれの現場から求められている両者の連携について、検討すべき項目や論点を整理した。この日は、在宅医療と訪問看護について、現状の課題の洗い出しと意見交換を行った。中でも、人員の確保が難しい状況となっている訪問看護ステーションについては、学校で学ぶ段階から就職先として志向する学生が増えるような“仕掛けづくり”の必要性を指摘する声があった。
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厚生労働省の担当者の説明によると、国内の人口に占める75歳以上の割合は年々増加し、それに伴って高齢者単身世帯の「要介護3」以上の人口も今後さらに増え続ける見通しで、医療では在宅へのシフト、終末期医療への対応が可能な施設や医療支援体制の確立が望まれている。また、看取りに関しても諸外国に比べて取り組みが遅れているという。
訪問看護については、看護学生の卒業後の進路に訪問看護事業所などを希望する人が全体の約20%程度いるものの、実際に就業している人はわずか2%。また、訪問看護事業所の規模が小さいほど24時間オンコールの負担が大きく、日本看護協会の2006年度の研究結果によると、人員が「2.5人-3人未満」の訪問看護事業所では、2日に1回の頻度でオンコールに対応しなければならないという。
委員からは、訪問看護の人員を増やす難しさを指摘する声や、負担の大きなところには、報酬改定の際の評価の見直しが必要との声が上がった。坂本すが委員(日本看護協会副会長)は、「看護師が訪問看護や在宅を志向するには、学校での教育が大事。ただ、学生が実際に希望しても、(現場には)急性期病院などで経験を積んでくるべきという雰囲気があるようだ」と指摘。その上で、「希望する学生が、初めから訪問看護などに行けるような仕掛けづくりが必要」と述べた。また、鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)は、「死亡総数が増えていく中、在宅も必要だが、過疎地や地方ではやはり病院も必要。両方の選択肢を提示するべき」とし、「既存の資源を使って、“総力戦”でやるという考え方が必要では」と述べた。
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