厚生労働省は2月16日、中央社会保険医療協議会(中医協)の総会に、2012年度診療報酬と介護報酬の同時改定に向けた論点として、薬剤師の少ない薬局による在宅での薬剤師業務を進めるための医療保険上の対応など3点を提示した。
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現行の調剤報酬体系では、薬局の薬剤師が医師からの指示で在宅患者に服薬指導などを行った際に算定する「在宅患者訪問薬剤管理指導料」がある。厚労省によると、全国の薬局の7割強が同指導料を届け出ているものの、実際に算定したのは1割に満たない。
また、薬局の7割弱が薬剤師数3人未満(常勤換算)の小規模経営で、在宅への対応には薬局業務の空いた時間を充てたり、薬局を閉じて対応したりするケースが多いという。
厚労省がこのほかに論点として挙げたのは、▽訪問薬剤管理指導が診療・介護報酬で評価されない高齢者向け住宅・施設の入所者に対する薬剤管理指導の評価▽医師から指示を受ける前に、介護支援専門員からの情報提供などによって薬剤師が訪問した場合の診療報酬上の評価―の在り方。
高齢者向け住宅や介護施設のうち、薬剤師の配置が義務付けられていない特別養護老人ホームの入所者に対する訪問薬剤管理指導では、同管理指導料や介護保険の「居宅療養管理指導費」のどちらも原則算定が認められていない。また介護老人保健施設では、薬剤師の配置基準はあるが、いずれも算定できない。
三浦洋嗣委員(日本薬剤師会常務理事)は総会で、これらの報酬について「(薬剤師の)行為自体は全く同じだが、算定に当たっての事前手続きや保険請求事務、患者負担の割合などが異なり、患者サイドにも保険薬局にも分かりづらい」と問題視し、改善を求めた。
■医科歯科の連携推進策なども論点に
厚労省はまた、在宅歯科医療の論点として、▽医科と歯科、医療と介護の連携の推進策▽在宅療養を歯科医療の側面から支援する「在宅療養支援歯科診療所」に求められる新たな役割▽通常の歯科保険医療機関による在宅への取り組みの推進策―などを挙げた。
厚労省によると、在宅に取り組む歯科医師のうち、主治医との連携が取れているのは6割、介護保険の職種との連携が取れているのは2割にとどまっている。また、居宅訪問を行う歯科診療所の数は、02年から08年にかけて微減傾向にあるという。
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