DPC評価分科会(分科会長=小山信彌・東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)は5月30日、DPC対象病院の基本的な診療機能を評価する基礎係数の「病院群」について議論し、「医師研修」「小児医療提供」「他病棟との連携」の3つの機能に着目して設定に向けた検討を進めることで新たに合意した。厚労省側が提案し、了承された。
同省の案によると、医師研修の機能を持つ病院としては、「国立高度専門医療研究センター」や「臨床研修指定病院」などを想定。臨床研修病院として指定を受けているかどうかや、経験年数別の医師数を集計し、これらを指標にして病院群を適切に設定できないか検証する。「小児医療提供」と「他病棟との連携」機能を持つ病院には、それぞれ「小児専門病院」、「ケアミックス病院」などが該当するとみている。
分科会ではこれまでに、「大学病院本院」を独立した病院群として設定する方向でデータ検証することを既に決めており、残り1369病院のグループ分けが焦点になっていた。厚労省は今後、今回浮上した3類型と合わせ、4つの類型について詳細なデータ分析に着手する。「医師研修」と「小児医療提供」など複数の類型に該当するDPC対象病院や、4類型のいずれにも該当しないDPC対象病院もあると考えられ、現段階では最大9通りの病院群を想定できることになる。厚労省の担当者は分科会終了後、これら以外の病院群の類型について、「手持ちのアイデアはない」などと説明した。
分科会が検討する基礎係数は、現在の調整係数の見直し後にDPC対象病院の基本的な診療機能を評価する仕組み。DPC対象病院を、共通の機能や役割を持つ複数の病院群に分類し、これらの病院群の診療実績を踏まえてそれぞれ基礎係数を設定する。最終的なグループ分けは、中央社会保険医療協議会・総会が決定する流れ。同省は、病院群の設定を夏にも固める考えで、7月に開く分科会にデータ検証の結果を提示する。
30日の分科会では、医師研修の機能に着目した病院群の設定について、臨床研修病院の指定の有無だけでなく、実際に研修医をどれだけ受け入れているかも調査すべきだとの意見があった。小山分科会長は「基礎係数では、取りあえず(研修を)しているかしていないかで分けて、機能評価係数2の中で(受け入れ人数の)濃度差を付けて連続的に評価する」などと述べ、調整係数の見直し後は基礎係数と既存の係数を連動して病院群を評価すべきだとの認識を示した。
分科会ではがん診療連携拠点病院など特定の疾患の拠点病院としての機能に着目して病院群を設定すべきだという意見もあったが、厚労省側は、「これらの大半の施設は、がん患者以外の疾患治療も行う総合医療機関として機能している」などと指摘。基礎係数はDPC対象病院の診療機能全体を反映する役割を担うため、疾患に着目した類型は「基本的には適切でない」として候補から除外した。「社会医療法人」や「地域医療支援病院」を病院群として設定する方向も「必ずしも適切ではない」とされた。
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