日本医師会の中川俊男副会長は6月15日の定例記者会見で、受診時定額負担などの施策を盛り込んだ政府の社会保障改革案に対する日医としての見解を示した。見解では、財源を利用者(患者)負担ではなく、保険料や税財源に求めるべきとし、被用者保険の保険料率を一律に最高率の協会けんぽの水準に引き上げることなどで財源を確保すべきと提言している。
政府案について見解では、医療や介護に相当の費用やマンパワーを投入する方向性を打ち出していることについては評価できるとしている。
しかし一方で、財源確保のために受診時の定額負担や高齢患者の一部負担割合の引き上げなど、利用者に経済的負担を求めていることを問題視。財源は、保険料率の公平化や保険料の見直しなど、税制改革で確保すべきとの見解を示した。
その上で、保険料見直しの具体的方策として、▽被用者保険の保険料率を、最も保険料率の高い協会けんぽの水準に引き上げ、公平化する▽国民健康保険の賦課限度額や、被用者保険の標準報酬月額の上限を引き上げ、高額所得者に応分の負担を求める▽低所得者や高齢者の負担軽減に配慮する▽公的保険の一元化を目指し、その実現までは財政基盤の弱い保険者を支援する―の4項目を提言している。
被用者保険の保険料率は現在、協会けんぽが9.5%と最も高く、以下は地方公務員共済(7.949%)、組合健保(7.926%)などと続いており、最も低率の私学教職員等共済(6.52%)とは約3%の開きがある。日医によると、これらが一律、協会けんぽの水準に引き上げられた場合には、保険料の増収効果は年間約1.8兆円が見込まれるという。
■医療実調の調査票送付ミス、「極めて遺憾」
一方、中川副会長は会見で、月内に実施される厚生労働省の医療経済実態調査(医療実調)の調査票が、東日本大震災の影響に配慮して送付を見合わせる地域の医療機関などに誤って送付されたことについて、「厚労省が調査や調査票の発送を委託した業者に丸投げし、管理・監督していないことは重大」と批判。同席していた鈴木邦彦常任理事も、「極めて遺憾。厚労省の監督不行き届きは免れない」「(自ら委員を務める)中医協で、原因究明について議論することになる」と述べた。
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