中央社会保険医療協議会薬価専門部会(部会長=西村万里子・明治学院大教授)は8月24日、日米欧の製薬業界団体、日本医薬品卸業連合会から、来年4月の薬価制度改革についてヒアリングを行った。この中で各団体は、昨年4月に試行的に導入された「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の本格導入・恒久化を要望。このほか各団体からは、古くても必要とされる医薬品の薬価を据え置く仕組みの導入や、市場拡大再算定の対象になる医薬品の要件の変更(年間売上基準額150億円の引き下げ)に反対する意見が出た。
また、欧州製薬団体連合会の加藤益弘会長は、同加算が導入された昨年の会員15社の新薬や適応追加の開発プロジェクト数が前年から40%増の293件だったことや、世界同時開発プロジェクト数も同様に40%増の171件に上ったことなどを示し、「著しい増加傾向が見られる」と強調した。
さらに、米国研究製薬工業協会の梅田一郎在日執行委員会委員長も、会員15社のヒアリング調査結果から、同加算が恒久化されることで「グローバルスタディーへの参加の後押し」や「希少疾患薬の開発への着手」にポジティブな影響を与えると考える企業の割合が大きく増加することを示した。
このほか、日本医薬品卸業連合会の別所芳樹会長も、「加算の恒久化を支持する」と述べた上で、「単品単価取引を推進し、価値に見合った市場価格を形成するには、大規模ユーザーの理解が必要」とした。
意見交換で邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)は、「明確なアウトカムが出てくるまで、このまま同加算のトライアルを続ける選択肢もあるのではないか」としたのに対し、庄田会長は「しっかりと制度を恒久化していただきたい」と応じた。
また、欧米の業界団体が、当初の予想販売量を大幅に超えて販売された医薬品について薬価を引き下げる市場拡大再算定の要件の変更に反対したことに対し、白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は「患者さんに貢献して、それだけ価値が高いものだから、高い値段が当然という言い分には、わたしは我慢できない。適正な価格でやるべきだ」と反発。安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も白川委員の意見に賛同した上で、「(当初の予想販売量と)大きく乖離するということは、そもそも最初の推計そのものが過少であるとしか言いようがない」と述べた。
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