厚生労働省は9月7日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)の総会に、来年度の診療報酬改定に向けたDPC関連の検討項目と、今後の検討スケジュール案を提示し、了承された。現行の調整係数に代わる基礎係数を病院群ごとに設定するため、中医協総会はDPC対象病院のグループ分けを11月中に固める。また、DPC対象病院の体制や医療の質向上などを評価する機能評価係数1、2に新たな項目を導入することの可否や、導入済みの項目の見直しに関しては、12月に結論を出す。
分科会では病院群として、「大学病院本院群」のほかに「高診療密度病院群」(仮称)と「その他の急性期病院群」を提示している。ただ、「大学病院本院群」と「高診療密度病院群」(仮称)が一本化される可能性もあり、スタート当初の基礎係数は最大3通りになる見通しだ。
「高診療密度病院群」(仮称)に位置付ける病院として厚労省側は、「診療密度」(1日当たりの包括範囲出来高点数)やDPC病床当たりの医師密度が高い施設を想定。ほかに、医師研修か高度医療の実施状況、重症患者の受け入れ状況のいずれかが一定以上であることも求める。
ただ、医師密度を要件に組み込むことで「医師の獲得競争を引き起こしかねない」と懸念する声もあり、診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は同日の総会で反対を表明。小山信彌・DPC評価分科会長はこれに対し、研修の実施などを求めるため、「医師を集めれば事足りるわけではない」と応じた。
現行の調整係数は、診断群分類の包括評価による診療報酬が改定前年の医療費実績と同じになるよう、DPC対象病院ごとに設定する仕組み。DPC制度を円滑に運営する観点から導入されたが、個別のDPC対象病院ごとに、診療報酬改定のたびに継続して設定されるため、DPCに参加した時点での出来高による報酬水準がいつまでも維持されることになる。
(残り215字 / 全1055字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】