9月23日に開かれた医療フォーラムで講演した中央社会保険医療協議会(中医協)委員の安達秀樹氏(京都府医師会副会長)は、「野田佳彦首相は財務省公認候補みたいなものだ」と述べ、2012年度の診療報酬と介護報酬の同時改定でのプラス改定実現は難しいとの見通しを示した。
野田首相は就任前、12年度の同時改定について、「基本的にマイナスはないだろう」と発言しているが、安達氏は「小泉政権の社会保障費年間2200億円削減政策は取らないというのが、民主党の政権交代時の基本的なスタンス。それを確認しているに過ぎない」とし、「安心、期待してはならない。厳しい道筋が待っていることを覚悟しなければならない」と訴えた。
■受診時定額負担は「中医協軽視」
安達氏はまた、外来受診時の自己負担額に100円程度を上乗せする「受診時定額負担制度」の導入に強く反対する考えを示した。
安達氏は、自己負担額が増えると受診抑制が起こり、医療費が減るとする「長瀬効果」に触れ、制度導入による影響額は年2000億円に上ると指摘。その上で、「10年度改定では、プラス改定にもかかわらず、外来には1000億円しか原資を回していない。2年もたたないうちに、受診抑制2000億円を見込んだプランをどうして作れるのか。考え方によっては、中医協軽視と言っても過言ではない」と厳しく批判した。
上乗せ額について、厚労省は16日の社会保障審議会医療保険部会で、100円を恒久的に維持すると説明しているが、安達氏は「そんなの信用できない」と述べ、将来的な引き上げに懸念を示した。
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