中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は11月2日の総会で、精神科医療をめぐり議論した。認知症患者に関しては、行動・心理症状(BPSD)が入院後1か月でほぼ改善している状況を踏まえ、厚生労働省は入院早期(30日以内)の評価を提案した。
認知症患者に対する入院医療を評価する認知症治療病棟入院料は現在、報酬が高い入院60日以内と報酬が低い61日以上の2段階に設定されている。2010年度改定では、それまで90日を境に設定していた区分を60日に見直した上で、入院60日以内をより優遇する報酬設定を行った。
同省は認知症患者の早期退院を促進したい考えだが、同入院料の算定で入院期間が60日以内のケースは1割程度にとどまっている。さらに、認知症患者が病院に入院する理由は「BPSDの対応が困難」が大半を占めるが、BPSDは入院後1か月あればほぼ改善するとされることから、同省は「BPSD対応について、入院早期(30日以内)の評価」を論点に挙げた。
同省がこの日公表した医療経済実態調査の結果によると、精神科病院の10年度の損益率が09年度に比べて悪化していることが分かっており、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、30日よりも長い期間の報酬を引き下げないよう求めた。
このほか同省は、認知症をめぐる論点として、10年度改定で新設された「認知症専門医療機関連携加算」に関する評価の在り方や、長時間の重度認知症患者デイ・ケアを行った場合の評価の在り方などを示した。
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