中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)が11月2日に開いた総会では、身体と精神疾患の両方を抱える患者の診療報酬上の取り扱いもテーマになった。厚生労働省では、一般救急と精神科救急の連携を強化する方針を掲げており、これに合わせた診療報酬上の見直しを検討する。現在の仕組みでは、精神疾患のある救急患者を一般の病院が受け入れる場合への評価はあるが、後方病床に移った後に精神科医が医療を提供しても特段の評価がなく、今後はこうした点の解消が焦点になる。
ただ、現在の診療報酬では、精神科単科の病院を内科医や外科医が訪問し、入院患者に医療を提供した場合には「精神科身体合併症管理加算」(1日350点)を算定できるのに、逆に精神科医が一般病院の患者を診療しても特段の評価がない。
また、救急搬送された精神科の患者を救急病院が受け入れた場合には「救命救急入院料加算」(3000点)を算定できるが、退院患者を受け入れた後方病院への評価がなく、同省保険局の鈴木康裕医療課長は2日の総会で、これらを「診療報酬上の課題」に位置付けた。
■一般病棟の「せん妄」患者への多職種アプローチも
同省はほかに、精神科医や精神看護専門看護師らのチームによる一般病棟での取り組みも論点に挙げた。「せん妄」が認められる一般病棟の入院患者に複数の職種がアプローチすると、入院期間の短縮や、入院中の死亡率低下につながるとの海外の研究結果があるといい、鈴木課長は「一般病棟にいたとしても精神的なさまざまな手立てが必要」と述べた。
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