中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は9日に総会を開き、医療と介護の連携をめぐる課題について議論した。この中で、厚生労働省保険局の鈴木康裕医療課長は、2010年度の診療報酬改定で見直された「在宅患者訪問診療料」について、同じ日に一つの居住系施設内(有料老人ホームなど)の患者を2人以上訪問した場合の報酬の引き上げを、12年度改定で検討する意向を示した。
支払側の花井十伍委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、訪問先への移動時間が都市と地方で異なるとして、全国一律となっている評価の見直しを求めた。
■在宅の機能分化と連携で3案提示―厚労省
厚労省はまた、在宅患者への24時間対応や看取りなどを促進するため、在宅医療を担う医療機関の機能分化や連携に関する3つのグループ案を提示。▽複数の医師が在籍し、自院だけで完結する有床の在宅療養支援診療所(在支診)▽緊急時の入院のみ在宅療養支援病院(在支病)と連携する在支診▽在支病を含む他の医療機関と連携・補完し合う在支診―をそれぞれ想定したもので、鈴木課長はこれらを12年度改定で導入し、その後も継続的に推進する方向性を示した。
厚労省案に対して、診療側の嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長、山形大大学院教授)は、政策の導入に伴うシミュレーションの必要性を指摘。一方、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、在支診と連携している医療機関が、24時間の往診体制を満たしていないにもかかわらず、往診料などで連携していない医療機関の報酬と大きな開きあるとして、「在宅医療を進めるのであれば、この是正は何らかの形で必要なのではないか」と述べた。
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