中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は25日に総会を開き、診療側・支払側の委員がそれぞれ、2012年度診療報酬改定に関する意見書を森田会長にあてて提出した。診療側が報酬の引き上げによる医療費全体の底上げを求める一方、支払側は、報酬全体の引き上げは「とうてい国民の理解と納得が得られない」との認識を示している。
診療側の意見書では、医療機関が質の高い医療の提供に不可欠な設備投資を行い、さらに勤務医などの負担軽減・処遇改善を進めるには、前回10年度のプラス改定のみでは不十分だと主張。「12年度報酬改定は、財政中立の下での財源の付け替えだけで済ませられるようなものではない」と訴え、診療報酬の引き上げによる医療費全体の底上げを求めた。財源については、「低所得者に配慮しながらも、税と保険料の負担を引き上げる余地はある」との見解を示している。
一方、支払側の意見書では、賃金・物価の低下傾向が続く上に、高齢化に伴う社会保障負担の増大などより国民生活は一層厳しさを増すことが見込まれる中、医療保険財政は急速に悪化していると指摘。これに対し医療機関の経営は、10年度のプラス改定後に急性期病院の収支が改善しているほか、慢性期病院や診療所、薬局も黒字が続いており、「患者負担や保険料負担の増加につながる診療報酬全体の引き上げを行うことは、とうてい国民の理解と納得が得られない」と主張している。
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