政府は21日、2012年度診療報酬改定の改定率について、医師の人件費などに当たる「本体部分」を1.38%引き上げ、全体(ネット)で0.004%のプラス改定とする方針を決定しました。本体引き上げ分の財源は5500億円で、病院勤務医など医療従事者の負担軽減▽在宅医療の充実▽認知症やがんの治療への評価の充実―の3項目に重点的に配分されます。一方、介護報酬改定は1.2%のプラスとなりました。診療報酬については、年明けから中央社会保険医療協議会で具体的な点数設定の議論に入る一方、介護報酬に関しては、社会保障審議会の分科会が来年1月末に、サービスごとの報酬や基準を答申する予定です。
小宮山洋子厚生労働相と安住淳財務相の折衝は、首相官邸で藤村修官房長官が裁定に入ることで決着。最終的に、診療報酬と介護報酬ともにプラス改定となった。診療報酬の本体部分は医科1.55%、歯科1.70%、調剤0.46%でいずれもプラス。一方、薬価・材料費の内訳は、薬価がマイナス1.26%(薬価ベースでマイナス6.00%)、材料がマイナス0.12%で、財務省が10%程度の引き下げを求めていた長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)の薬価は、0.9%の引き下げで合意した。
診療報酬本体1.379%引き上げで決着- 介護報酬はプラス1.2%
財源配分、12年度も救急・産科などに重点- 医科は1.55%アップ
診療報酬全体での微増、小宮山氏は成果強調- 12月21日ドキュメント
0.004%アップ ネット上の声さまざま- 「財務省を押し返した」「横ばい」
■21日(水) 中央社会保険医療協議会総会
診療側と支払側がそれぞれ、12年改定に向けた意見書を森田朗会長(東大大学院教授)に提出した。年明け以降、具体的な点数の議論に入る前に、「初・再診料」などテーマごとにそれぞれの見解を整理したもの。在宅医療の推進では両側の認識が一致したが、同じ医療機関で1日に複数の診療科を受診した場合、初・再診料の算定回数が制限されるルールの見直しなどに関しては意見が分かれた。
【中医協】在宅医療の推進では一致- 診療・支払側委員が意見書
12年度改定に伴うDPC制度の見直し案を了承した。同制度に参加する病院を役割や機能に応じて3つのグループに分類した上で、現行の調整係数に代わる基礎係数をそれぞれ設定するほか、機能評価係数1、2に関しては、評価項目の追加や見直しを行うという内容。年明けから具体的な報酬設定の議論に入る。
【中医協】改定に伴うDPC見直し案を了承
12年度薬価改定の骨子案を了承。未承認薬・適応外薬問題の解消や革新的新薬の開発のためのインセンティブの確保、先発品から後発品への置き換えが着実に進むことを念頭に、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の試行的実施の継続や、後発品薬価のばらつきへの対応策、長期収載品の薬価の追加引き下げなどが盛り込まれた。
【中医協】薬価改定骨子案、総会で了承
■22日(木) 小宮山厚労相、安住財務相の閣議後会見
12年度診療報酬改定の改定率がネットで0.004%の引き上げとなったことについて、小宮山厚労相が「この政権として医療をしっかりと守っていくという姿勢は示せた」と自信をのぞかせる一方、安住財務相は「最後は(藤村修)官房長官にご判断いただいた。それはやむを得なかった部分もある」と述べた。
プラス改定「医療を守っていく姿勢示せた」- 小宮山厚労相
診療報酬プラス改定「最後は官房長官判断」- 安住財務相
■22日(木) 日医・原中会長の会見
日本医師会の原中勝征会長は緊急記者会見で、12年度改定の改定率がネットで0.004%の引き上げとなったことについて、医師の疲弊や地域医療の崩壊を食い止めるものとして評価するとの見解を発表した。
日医原中会長、プラス改定は「95点」
■27日(火) 民主・厚生労働部門会議
ネットの改定率が0.004%、本体部分が1.38%引き上げとなった12年度改定について、出席した民主党議員からは、「一定の評価があった。部門会議として要望したことが事実上、認められたという評価だった」(岡本衆院議員)という。
プラス改定で「事実上、要望認められた」- 民主・厚労部門会議
【お知らせ】 年末年始の休業等のため、「週間ニュース」と「早分かり同時改定」はしばらくの間、お休みとさせていただきます。
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