【畑埜クロスマネジメント代表 畑埜義雄】
部下を育成する際に「コーチング」と「ティーチング」という2つの方法がある。
ティーチングは学校教育から始まり、組織における人材育成などさまざまな場面で一般的に用いられている人材育成法である。まだ知識や経験の少ない人に対してノウハウやルールを教えるというスタイルで、医学部を卒業したばかりの新入局員を速いスピードで育成できる方法だ。一方、コーチングは個人の可能性を引き出すスキルで、2つの方法にはそれぞれ特徴がある。
例えば、ティーチングは基本的技術や医療安全にかかわることを教えたり、情報伝達という一方通行な手法であるため、やり方や価値観の統一を図ることができ、ルールの徹底やマニュアル指導をしたりするのに向いている。一方で、教えられる側を受け身にさせる方法でもある。情報を受け取る形式のため、プロセス自体が受け身になる。そのため、教えられたことを使って失敗した場合は教えた側に責任を転嫁したり、うまくいった場合も自信につながらなかったりすることがあり、結果として自立性を失うことがある。
そこで、ティーチングに代わる手法として注目されているのがコーチングである。コーチングは、アメリカで1960年代に体系化された人材育成法であり、スポーツのコーチが使っていた指導スキルをベースに、「心理学」「カウセリング学」「リーダーシップ論」「成功哲学」などが組み合わさって体系付けられた。最近では、錦織圭選手のコーチ、マイケル・チャンがクローズアップされている。闘うのは錦織選手だが、チャン・コーチによって彼が持っていた力が引き出されたのである。
次回配信は10月16日15:00を予定しています
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