
キャリアブレインの取材に応じるニッセイ基礎研究所の前田主任研究員
国民が健康維持のための行動を取ると、将来、介護にかかるコストはどのくらい減るか。それとも、長生きの人が増えると、結果的に社会全体の介護費用は増加するのだろうか-。こうした疑問に答えようと、ニッセイ基礎研究所の前田展弘・主任研究員(東大高齢社会総合研究機構客員研究員)は、2020-50年の介護コストの変化を独自にシミュレーションした。試算の結果、何も対策を取らない場合に比べ、予防行動によって国民の健康寿命が延びた場合、年平均1兆7000億円の節減が見込まれることが示唆された。【丸山紀一朗】
厚生労働科学研究費補助金による12年度の研究報告では、予防効果によって要介護2以上の人が11-20年の10年間に10%減れば、最小で約2.5兆円、最大で約5.3兆円の医療・介護費が節減できると推計されている。しかし、前田氏によると、20年以降の本格的な超高齢社会における予防行動による効果の推計は行われていない。そこで前田氏は、独自のシミュレーションを行い、介護にかかるコストに限って定量的な可視化を試みた。
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