日本郵政は先月、仙台、新潟、神戸の3市にある逓信病院を事業譲渡した。日本郵政が逓信病院を売却するのは初めて。神戸の病院を引き継いだ医療法人社団南淡千遙会では今年秋にも、一部の病棟を地域包括ケア病棟に転換し、近隣の急性期病院の受け皿としての機能を強化する。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、国が病床の機能分化を進める中、企業立病院にも、地域の医療ニーズに適応する力が試される。【敦賀陽平】
逓信病院は戦前の1938年(昭和13年)、旧逓信省の職員や家族を対象とする東京逓信病院が開設されたことが始まり。2007年秋の日本郵政公社の民営化を経て、現在は日本郵政が運営。北海道から鹿児島まで全国に11施設ある。今回の売却は、将来的な株式上場を見据え、不採算事業を整理したとの見方が強い。 企業は本来、医療法上の規定により、病院や診療所を開設することができない。だが、同法が施行される48年より前に建てられたものについては、例外的に運営が認められている。また、職員の福利厚生と地域貢献を目的として医療を提供する企業の健康保険組合(健保組合)のほか、国の特殊法人が管轄する病院を引き継いだNTTやJRなども、開設が許されている。
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